初恋の男の子に泣かされた思い出

自分の体毛が他の子たちよりも濃いことに気がついたのはいくつの時だったか、もう覚えていません。女の子なので、たぶん、かなり幼い頃から気にしていたのだと思います。小学校に上がった最初の運動会、ですから7歳の頃にはもう、 「私の足の毛は濃いな、指にまで毛が生えてるな、お友達の指はつるつるなのに、どうしてだろう」 と考えながら脛の毛を引っ張って抜いていた記憶があります。

子供の頃の私は病気がちで家にこもっていたため、とても色白でした。「色の白いは七難隠す」といいますが、私の場合はそれが裏目に出ました。肌が白ければ白いほど、黒い毛は黒々と浮き上がるのです。太くて濃くてもしゃもしゃしていたのは髪ばかりではありませんでした。脛も腕も指も女の子にしては立派すぎる毛が生えていました。 最悪だったのは顔です。筆をぐいと引いて書いたような太い眉も悩みの種でしたが、鼻の下の産毛は、あろうことか一本一本が太くて、産毛というよりほとんどヒゲに近いように感じていました。

もうじき思春期を迎えようという10歳の時、悲しいことが起こりました。クラスの男子たちが私のことを「ゴリラ」と呼び始めたのです。女子にしては濃すぎる体毛と、目立ちすぎる顔の産毛をからかうあだ名でした。

「ゴリラがこっち来たぞ!」

「ヒゲの生えてるゴリラだぞ!」

「ヒゲゴリラだ!」

といっても、いじめというほどのことではありません。 クラスの悪ガキはいつも誰かをからかっているもので、馬鹿なんだと思い、相手にしていませんでした。放っておけばすぐにあきるでしょう。

しかし、同じクラスの中には、私の初恋の相手もいたのです。彼は物静かで誰かをからかうというタイプではありませんでした。 他の子が 「ゴリラ、ゴリラ」 と騒いでいても加わることはありませんでした。 けれど彼は、たった一言、私の顔をまじまじと見つめて言いました。 「ほんとだ。毛、濃いな」

10歳の私はその場で泣いてしまいました。大勢の男子たちにゴリラと呼ばれるより、片思いしていた彼に「毛が濃いな」と指摘されたときのほうがはるかに深く傷ついたのです。もちろん彼はびっくりして謝ってくれましたが、その後ますます私のコンプレックスは深くなってしまいました。

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